ハレスリーCSハイパー プレイヤーズインタビュー

ライター:原田 武(たけじょー)

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超大規模CSとして開催されたハレスリーCSハイパー。会場には実に282人もの選手が集い、最強を目指して鎬を削ることとなった。

王道W第一弾「邪神vs邪神」発売から早くも一週間。新たなカード、未知のギミック、そして潜伏する「あの呪文」……。混迷の新環境に、プレイヤー達が見出した答えとは何か?

この記事では激戦の合間を縫って、3名の選手に突撃インタビューを敢行。環境や使用デッキについて、思い思いに語って頂いた。


最初にインタビューに応じてくれたのは、小判.。競技シーンにおける活躍はもとより、イベント運営から動画出演、デッキビルディングまでマルチにこなすプレイヤーだ。

小判.「よろしくお願いします~」

――こちらこそ、お引き受けいただきありがとうございます。よろしくお願いします!早速ですが、今日の使用デッキについてお聞かせいただけますか?

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小判.「今日は【ドリームメイト】ですね。今の環境二大巨頭が【光水ヘブンズ・ゲート】と【ドリームメイト】なんですけど、速度の速さと押し付ける力を評価してこっちを選びました」

小判.「練習したいのと通りが良さそうなのもあるんですが……やっぱり速度が大事です。速度が速いのはデュエル・マスターズにおいて正義だと思っている側の人間なので(笑)」

――なるほど(笑)。そういえば、【火水マジック】の基盤作成などもされていた記憶があります。

小判.「《氷柱と炎弧の決断》をたくさん入れて……みたいなのを動画の企画でやったりとかしました。昔から早いデッキをカチャカチャいじくるのが好きだったので、【ドリームメイト】はそういう意味でも肌に合っているなって感覚ありますね」

――構築についてもお聞きしたいのですが……【ドリームメイト】の構築はかなり盤石と言うか、固定化されている印象を受けます。

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小判.「そうですね。流行っている構築から《お騒がせチューザ》《魔誕幻獣ボンメェ》とかの1枚採用の枠をいじくって、みたいな感じです。毎週の環境に向けてこの数枚単位だけが変わってきます」

小判.「基盤が強いって言われている通り、そこはなかなか変えるところはないので。〈光臨〉能力の性質上、細かい1枚1枚を変えやすいっていうのは逆にいいところでもあるんですよね」

――そのあたりの選び方、使い方に差が出てくる、と。

小判.「例えば【ヘブンズ・ゲート】相手の《お騒がせチューザ》なんかがメジャーなんですが、環境によってその(1枚採用の)枠は変わってくるので、きちんと把握できるように日頃練習はしています」

――ありがとうございました。話は変わりますが、今日はスーツケースでお越しになったんですね。

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小判.「そうですね、新幹線で新潟から。朝早く出て余裕を持って……って予定だったんですけど、僕の家から駅まで大体車で1時間かかるんですよ。で、駅ついて、新幹線のところまで行って、乗るぞってタイミングでカバン見たら財布無くて」

――やっば。

小判.「一回引き返して戻ってきたので、1時間半くらい遅れて着いています。もうほとんど間に合ってなかったですけどね、スライディングで(笑)」

――いやはや、間に合ってよかったです。大会後は東京にしばらく滞在されるんでしょうか。

小判.「そうです。ゴールデンウィーク前半は東京にいるので、撮影したりCS出たり、楽しく過ごそうかなと思っています。東京観光はわりかし済んでいるところはあるんだけど、折角だし浅草は行こうかな」

――どちらも楽しんでください!最後までありがとうございました。

ちょっとお茶目な一面も垣間見せつつ、【ドリームメイト】の強みについて語ってくれた小判.。高速展開と柔軟性を兼ね備えたこのデッキからは、まだまだ目が離せなさそうだ。言わずもがな、小判.本人からも。


続いてインタビューに応じてくれたのは、‘’のすけ‘’。現行DMPランキング全国2位につける、まごうことなきトッププレイヤーの一人だ。デュエチューブリーグ(DTL)では解説を務めるなど、こちらも多方面で活躍している。

――試合、お疲れ様です。今日はよろしくお願いします!

‘’のすけ‘’「よろしくお願いします」

――直前の試合、どんな感じでしたか。

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‘’のすけ‘’「今日は【ドリームメイト】を使っていて、【ヘブンズ・ゲート】相手にちゃんと勝ちました。実はこの土日にかけて増えると踏んでいて……新弾が出て一週間、そろそろパーツを揃えて組んでくる人が増えるタイミングだと思っていたんです」

――そこまで先読みしてのデッキ選択なんですね。

‘’のすけ‘’「そうですね。他に【ファイアー・バード】や【ジャイアント】とも迷ったんですが、【ヘブンズ・ゲート】に有利がつかないことを嫌って取りやめています」

‘’のすけ‘’今の環境では【ファイアー・バード】【ヘブンズ・ゲート】【ドリームメイト】間で三すくみが成立しているところがあるので、その立ち位置を見据えて、ということになりますね」

――確かに今日の会場では【ヘブンズ・ゲート】を多く見かけますね。……あれ?そういえば‘’のすけ‘’さん、一週間前に【ヘブンズ・ゲート】で優勝していたような……?

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‘’のすけ‘’「はい、新弾の《真気楼と誠偽感の決断》入りの構築で。環境デッキで一番強くあのカードを使えるデッキになるかなと。闇文明も積みやすいので、手打ちも現実的なラインに入ってきます」

――で、その型が今流行っているわけですか……お見事です。自分が生んだトレンドに向き合う形で、【ドリームメイト】になった。今後も現在のような環境が続いていくと思われますか?

‘’のすけ‘’「デッキパワーで言うと【ヘブンズ・ゲート】【ドリームメイト】が頭一つ抜けているので、今後も活躍すると思います。【ファイアー・バード】も素直なデッキにはなったんですが、それでもやっぱり強いですね」

――ありがとうございます。確か全国大会でも【ドリームメイト】を使われていましたが、「手に馴染む」みたいな感覚もあったりするのでしょうか。

‘’のすけ‘’「実は直近だと一番苦手なデッキですね」

――えっ、そうなんですか。

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‘’のすけ‘’「めっちゃ苦手でした。ちょっとデュエマっぽくないデッキというか……《森夢のイザナイ メイ様》で展開する都合上、相手にターンを返さないといけないタイミングが1,2回来るんですよ」

‘’のすけ‘’『実質勝ち』を何回も繰り返す感覚を掴むのにすごく時間がかかっちゃって……数ターン先を読まなければいけないところもあるので、環境屈指の難しいデッキですね。ようやく様になってきたと思います」

――最後に、今後についてお聞かせください。

‘’のすけ‘’「一旦今期DMPランキングでは1位を目指そうと思っています。今すごく調子がいいので。折角目指せるラインにいるので、やれるだけやってみようと思います!」

――応援しております。最後までありがとうございました。

「苦手だった」【ドリームメイト】を通して、環境のアウトラインを提示してくれた‘’のすけ‘’。その高い洞察力をもって、今後もランキングを戦い抜いてくれるに違いない。


最後の一人はLIKEY。一週間前に開催されたばかりの晴れる屋3主催「第3回 太陽王決定戦」にて見事優勝し、「3代目 太陽王」の称号を掴んだプレイヤーだ。

その際の使用デッキは【水闇COMPLEX】だったのだが、今回は【光水ヘブンズ・ゲート】での参戦となったようだ。

――お時間いただきありがとうございます。今日はよろしくお願いします!

LIKEY「お願いします!」

――ちらっと見ていたのですが、先程の対戦相手は【火光自然ボルシャック】でしたね。試合運びはどういった形になったんでしょうか?

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LIKEY「相手がマナブーストを引けてないうちに、自分から≪スターゲイズ・ゲート≫で動いてそのまま……って感じですね」

――【ヘブンズ・ゲート】らしい押し付けの動きですね。今日のデッキ選択も、そのあたりを評価してのものなんでしょうか?

LIKEY「やっぱり《真気楼と誠偽感の決断》強いだろうな~っていう読みで、フル投入した【ヘブンズ・ゲート】を使おう、となりました。でも、発売から一週間ということもあってみんな順応してきているのか、上手く躱されることも多くて

――なんと。旬なカードである分、しっかり警戒もされている……

LIKEY「ただ、構築上《冥界を統べる新月のハーデス》と《悪魔聖霊ジェミニアス》で闇文明を7枚確保できているので、自分から使う場面もあります。手打ちしても強いな、というのはありますね」

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LIKEY「《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》であえてトリガー呪文を回収しないとか、自身の《真邪連結 バウ・M・ロマイオン》に除去モードを使ってEXライフをはがすとか、動きの選択肢も増えています」

――選択肢が増えた分、使いこなす難易度はさらに上がっていそうです。

LIKEY「流行っている分ミラーマッチも多いんですが、これが難しいんです。お相手が上手いのもあるんですが、単純に自分がこのデッキを開拓しきれていないというか、まだまだ練度を高めきれていない」

LIKEY「この大会は『負けてもいいから学びに行こう!』という気持ちもありますね」

――なるほど。実戦を通してのレベルアップということですね。ところで、先日の【COMPLEX】も今日の【ヘブンズ・ゲート】も、どちらかというとコントロール気質のデッキですね。そういった戦略がお好きなのでしょうか?

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LIKEY「その時々に『これ楽しそうだな』と思ったデッキを使っているので、フィーリングになるかもしれません(笑)。ガシガシ行くデッキもめっちゃ好きです」

――そうだったんですね!過去にしっくりきたデッキなど、教えていただけますか。

LIKEY「2017年の【火水ドギラゴン剣】【火光水ドギラゴン剣】とかめっちゃ好きですね。今でこそ環境にはいないですけど、【火水マジック】も機会があればもう一回使いたいです。多分〈革命チェンジ〉が好きなんでしょうね(笑)」

――ガシガシ革命チェンジ、最高ですね。最後までありがとうございました。

環境に打ち込まれた楔、《真気楼と誠偽感の決断》。【ヘブンズ・ゲート】という一つの解答が提示された今、使う側に立つか、使われる側として受け流すか……更なる深堀りを進めていくだろうLIKEYに注目だ。


加速し、変化し、進歩し続ける対戦環境。そこに正解を見出すことは難しいが、しかし、だからこそ面白い。
3選手の思考が、あなたが最前線へと踏み出す手助けになれば幸いだ。