ライター:原田 武(たけじょー)
ハレスリーCSハイパー、準々決勝。ベスト8まで勝ち残った選手たちに、一足早く「HARERUYAローダー」に収められた《氷柱と炎弧の決断》が贈呈された。
しかし表情を緩める者はいない。ここからが正念場なのだ。着席した8人の選手は、一層増していく緊張感の中でシャッフルを開始する。
フィーチャーエリアの最奥にあたる位置で準備を始めたのは中華麺akaけんけん。今期DMPランキングへの出走を決意して以来上位入賞を連発している、上り調子真っただ中のプレイヤーだ。
中華麺akaけんけん「これまでで優勝が2回あって、今日もここまでこられたので。今キてます。アツいです」

彼がこの日選択したのは、現環境最強格との呼び声高い【ドリームメイト】。【光水ヘブンズ・ゲート】や【火光水ゴスペル】の増加を見込み、立ち位置の良いこのデッキを持ち込んだという。
言わば王道、ド直球で臨む中華麺akaけんけんに比べ、相対するやまーるのデッキ選択は見る者の度肝を抜く変化球。まさかの【ゼロ単水晶ゼニス】を相方に準々決勝に臨む。
やまーる「全部無色で、《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》も入れてないです(笑)。もともと無色ゼニスが好きで……使いたくて、自分で組み上げました」

《水晶設計図》や《策士のシダン ニャハン》で水晶マナを高速生成し、相手の横展開を《黙示録の水晶》《「無」の頂天 タブラ=ラーサ》でリセット。最後は《蠅の王 クリス=タブラ=ラーサ》で〆……と、真正面からゼニスの膂力を叩きつける構築になっている。
片や、デュエマ界にその名を轟かせるグランメゾン。片や、文字通りゼロから練り上げられたひとつの頂点。
勝ち残るのは一方のみ。ジャッジの掛け声とともに、準々決勝の幕が上がった。
Game
先攻:やまーる
予選勝利数の差により先攻の利を得たやまーる。しかし、最速ムーブを可能とする《策士のシダン ニャハン》や《水晶設計図》が引き込めていない。
ゼニス・セレス戦略の根幹を成す〈水晶ソウル〉ギミックには、裏向きマナこと水晶マナが必要不可欠だ。そして、1ターンあたりに生成できる水晶マナには限りがある。
2ターン目に1枚用意できるのが理想的だが、ここはチャージエンドという苦しい展開に。
一方、ゼロ文明しかマナに埋めてこないという不可解な光景を目の当たりにした中華麺akaけんけんだが、動揺する様子はない。
それもそのはず、彼にはすでにやるべきことが見えている。1ターン目《お目覚めメイ様》召喚。2ターン目に〈革命チェンジ〉で《森夢のイザナイ メイ様》へ。無事に1枚ブレイクが通り、ターン終了時に〈光臨〉が起動する。
これが山札より《激烈元気モーニンジョー》を招集し、その効果で初手から出番を待っていた《料理猫のプワソン》がバトルゾーンへ。無造作に引いたデッキトップは……この状況におけるベストアンサー、《料理長のラビシェフ》。
【ドリームメイト】の強み、2ターン目からのビッグアクション。それを可能にした、巡り合わせかのようなドロー。
中華麺akaけんけん「今キてます。アツいです」
その言葉に偽りなし。キてるし、アツい。
こうなるともう、《ピザスターのアンティハムト》が絡まないことを祈るほかないやまーる。僅かな可能性にベットして、《悟りのクリス アラヤシキ》でマナを裏返す。
しかし、"キてるしアツい"中華麺akaけんけんは踏み外さない。《トレジャー・マップ》で《激烈元気モーニンジョー》を回収し《料理猫のプワソン》で攻撃。革命チェンジ、《森夢のイザナイ メイ様》。
そこから先は流れるように、《激烈元気モーニンジョー》→《料理猫のプワソン》を2セット。《配膳犬のトレス》が《ピザスターのアンティハムト》をお届け。《料理長のラビシェフ》効果で《悟りのクリス アラヤシキ》をタップ。
この1枚ブレイクが通り、2体目の《料理猫のプワソン》が《悟りのクリス アラヤシキ》へ攻撃。《ピザスターのアンティハムト》からの《お目覚めメイ様》!

【ドリームメイト】3ターンクッキング炸裂。ゼニスすら、彼らにとっては食材にすぎない。
Winner:中華麺akaけんけん