デュエル・マスターズにおいて”太陽王”といえば、皆は何を思い浮かべるだろうか。
《太陽王ソウル・フェニックス》?それとも《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》だろうか?
その答えは人によって様々だろう。
しかし——
『第4回 太陽王決定戦』の決勝戦で相対する2名が出した答えは、どちらも太陽のごとく勝利への道を輝らす(てらす)力の象徴だった。

決勝戦に勝ち上がってきた2名が選択したデッキは、共に【光火自然ボルシャック】。
《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を起点として《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》や《超竜ヴァルキリアス》によるクリーチャーの展開、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》による呪文封殺など、大味ながら環境への対応力も兼ね備えているデッキだ。




決勝戦に駒を進めた一人、「総理」はこの『太陽王決定戦』上位入賞者にしか配布されていないプレイマットを持参して決勝の席に着いた。
前回の太陽王決定戦では惜しくもベスト4で敗退となってしまったが、連続で上位入賞をはたしている実力者だ。
「今回こそは優勝する」という強い気概を感じられる。
対するは「さきぃ」。競技イベントへの参加歴こそ少ないものの、並み居る強豪を次々となぎ倒し無敗のまま決勝の舞台にたどり着いた。
未知なる実力を秘めた新星が、太陽王の玉座を狙う。
果たして、“太陽”はどちらに昇るのか——。
いま、4代目太陽王を決める最後のゲームの火蓋が切られた。
Game1
先手:さきぃ
先に仕掛けたのはさきぃ。3ターン目に《メンデルスゾーン》をプレイし、2枚のマナ加速に成功。ドラゴンデッキ伝統のマナ加速で着実に準備を進める。
しかし、返すターンに総理が放ったのは……《魂の呼び声》!

総理「ドラゴンで」
入念にデッキの中身を確認しプランを組み立てた総理は、《超竜ヴァルキリアス》、《地封龍 ギャイア》、そして《竜皇神ボルシャック・バクテラス》の3枚を山札の上に呼び寄せる。
マナ加速をしなくとも《魂の呼び声》によって次ターンの出力を最大限に高める。
これぞ現代の【光火自然ボルシャック】のベストムーブといえる。
しかも公開されたカードの中には起点となる《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の姿はない。これにより「すでに手札に《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》はある。次のターンには全力をぶつけるぞ!」という強い意思が伝わってくる。
迎えた4ターン目。対するさきぃもそのプレッシャーを感じたのか、素早くゲームを決めにかかる。
さきぃは《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を召喚すると、そのまま《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》へ革命チェンジ。そして《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の能力を使用する。
祈るように力を込めてめくったカードは……《超竜ヴァルキリアス》!
強力なドラゴンではあるが、進化元のいない《超竜ヴァルキリアス》が盤面に降り立つことはない。そのまま《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》が総理のシールドをW・ブレイク。
呪文を封じてはいるものの、《魂の呼び声》によって見えているプレッシャーに対抗できる盤面を構築できなかったさきぃ。無念のターンエンドとなる。
念願の後攻4ターンが返ってきた総理は、待ってましたと言わんばかりに《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を召喚!
少し考えたのちに総理は《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》を攻撃。そして《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の能力を使用する。
……このめくりに祈りは必要ない。総理は自らの《魂の呼び声》に応えたドラゴンたちがそこにいることを知っている。
《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の能力により山札から《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》を呼び出し、さらにそこから《ボルシャック・大河・ルピア》、《ボルシャック・栄光・ルピア》、《超竜ヴァルキリアス》が駆けつけると、さらには《超竜ヴァルキリアス》の能力でマナゾーンから《地封龍 ギャイア》までもが揃った。
こうなってしまえば、もう止められるものは誰もいない。
《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》の能力でスピード・アタッカーを得たドラゴンたちの総攻撃。《地封龍 ギャイア》によりS・トリガークリーチャーも封じられたさきぃに対抗する手段は残されていなかった。
さきぃ 0-1 総理
Game2
先手:さきぃ
さきぃ「呼び声はやっぱ最強のカードですね……!」
総理「間違いない(笑)」
これで勝敗が決まってしまうかもしれない。そんな2試合目の準備中とは思えないほど、両者は笑顔で1戦目の対戦内容について語っていた。
【光火自然ボルシャック】でここまで勝ち上がってきた二人。お互いの手の内が分かっているからこそ、こうしてリラックスして勝負に挑めるのだろう。
お互い、ここが踏ん張りどころとなる第2試合。
2ターン目まではお互いマナチャージをしてターンを返す。
早期の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》召喚のため、まずは色を揃えるためにゆっくりと。勝負が動くとすれば3ターン目から。
お互いそれを理解しているからこそ、じりじりと間合いを詰めるための2ターンだ。

そして緊張が走る3ターン目、さきぃが動く。
さきぃ「宣言……ドラゴンで!」
そう高らかに宣言しながら放たれたのは《魂の呼び声》!
先ほどまで二人で話していた"最強のカード"をプレイし、慣れた手付きで山札を確認すると《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》、《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》、《超竜ヴァルキリアス》の3枚を選択。
今日初めての敗北を喫した1試合目の仕返しだといわんばかりのプレッシャーを総理へ与えていく。
これに対し、なんとか引きこんだ《魂の呼び声》をプレイするも、総理は苦しい表情。
さきぃが《魂の呼び声》で選択したカードから察するに、間違いなくさきぃは次のターンで《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》からの展開を仕掛けてくるだろう。
次のターンにさきぃの猛攻を受けることは覚悟の上で、耐え切ってからどう返すことができるか。総理はしばらく考えたのち、《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》、《超竜ヴァルキリアス》、《地封龍 ギャイア》の3枚を選択しターンを終える。
そして迎えた運命の4ターン目。さきぃが繰り出すのは当然《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》。
能力により山札の上から《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》がバトルゾーンへ舞い降りる。《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》からは、《光鎧龍ホーリーグレイス》、2体目の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》、《超竜ヴァルキリアス》と怒涛の展開。さらには《超竜ヴァルキリアス》から《地封龍 ギャイア》までもがバトルゾーンへ送り出され、万全の状態を構築したさきぃ。
総理は1戦目に自身が押し付けた展開をそのまま受けるような形となり、自身もまたこのドラゴンたちの圧倒的パワーの総攻撃を耐えきることはできず、
太陽王の座をめぐる戦いは、最終戦へともつれ込んだ。
Game3
先手:総理
太陽王への座を懸けた最終戦。
これまでの2試合同様、2ターン目まではお互いにマナを置くのみでターンを終えて3ターン目のアクションに備える。
勝負が動き出す3ターン目。
総理は《メンデルスゾーン》をプレイしてターンを返す。
対するさきぃの手札には先ほどから猛威を振るっている《魂の呼び声》がある。
……しかし、さきぃの手札には魂の呼び声以外の単色のカードが《地封龍 ギャイア》1枚のみ。これではこのターン《地封龍 ギャイア》をチャージし《魂の呼び声》で《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を積み込んだとしても、続くターンで肝心の4マナが捻出できず《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》が召喚されることはない。
さきぃはここでしっかりと考え、多色のタップインを処理しつつこちらも《メンデルスゾーン》をプレイすることを選択。

続く4ターン目、何としても先に主導権を握りたい総理は意を決して《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を召喚するも、攻撃するかどうかは今一度慎重に考える。
今までは《魂の呼び声》による確信の持てる攻撃だったが、今回はそれがない。ドラゴンたちが自分の想いに応えてくれるのか、未知の領域に踏み込む必要がある。
さきぃ「信じる?」
総理「いやー、こういうの苦手なんだよな……」
総理はしばらく考えた後、
総理「……行くしかない」
そうつぶやき、残ったマナで《メンデルスゾーン》を唱え《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》で攻撃を宣言する。
運命のデッキトップ……
総理の"魂の呼び声"に呼応したのは……《超竜ヴァルキリアス》!!

攻撃中の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を《超竜ヴァルキリアス》に進化させると、マナゾーンから《地封龍 ギャイア》をバトルゾーンへ送り出す。
さきぃは祈るように3枚のシールドに確認し、S・トリガーを宣言するも《光鎧龍ホーリーグレイス》は《地封龍 ギャイア》の能力によりバトルゾーンへ降り立つことはない。
追撃こそないものの《地封龍 ギャイア》という強力な相棒を添えることに成功し、総理はターンを終える。
さきぃも続いて《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》による盤面の解決をはかりたいが、肝心の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》が見当たらない。
なんとか《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》へたどり着くため、このターンで3枚の《決闘者・チャージャー》を唱え、最後の《決闘者・チャージャー》でようやく《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》が手札に加わる。
さきぃ「遅いー……でも、まだありますよ!」
このターンで《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》の着地までは叶わなかったものの、さきぃは諦めない様子で総理にターンを返す。
……しかしその1ターンの隙を総理は見逃さない。
総理は素早く《魂の呼び声》を唱え、迷わず《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》、《禁断竜王 Vol-Val-8》、《超竜ヴァルキリアス》を呼び寄せる。そして《地封龍 ギャイア》の能力でマナから追撃の《ボルシャック・ドリーム・ドラゴン》を召喚すると攻撃を宣言。
山札の上で待ち構えていた《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》を呼び出し、《禁断竜王 Vol-Val-8》、《超竜ヴァルキリアス》、《光鎧龍ホーリーグレイス》と次々にドラゴンが呼び出される。
そして最後に《超竜ヴァルキリアス》によりマナから繰り出されるのは……さきぃの息の根を止める《偽Re:の王 ナンバーナイン》!

太陽の象徴《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》率いるこの軍勢を受け止めきれないことを悟ったさきぃは、笑顔で敗北を受け入れた。
さきぃ 1-2 総理
Winner:総理
さきぃ「ここまでされたら気持ちよく終われるわ!」
総理「ヴァルキリアスめくれたのが良かった~」
さきぃ「あのメンデルスゾーンは魂のメンデルスゾーンでしたね~、お見事!」
真剣勝負も終わってしまえば、どちらもドラゴンを愛するデュエル・マスターズプレイヤーだ。
同じデッキでここまで勝ち上がってきた者同士だからこそ、愛するデッキや試合の話は尽きることがない。
共に高め合うこの二人が、再び“太陽王”の座を懸けて戦う——。そんなときも、そう遠くはないだろう。

壮絶な力と力のぶつかり合いを制し、4代目太陽王の座を手にしたのは『総理』!!
おめでとう!!